1998年9月16日(水)訪問:訪問校は晃華学園。1学年130~140名の小規模の学校であるが、国公立大学や難関私立大学への現役進学率が高い進学校として、また女子学院や桜蔭など2月1日トップ校を受験する生徒の併願校としても知られる、人気の高い学校である。校長広野佑子先生にインタビューした。
ほくしん教務統括 中山秋子

『現代社会には心の教育が絶対に必要』

(中山)
進学実績が高く評価されていますが、具体的には晃華学園の教育はどのように進められていますか。
(広野先生)
進学校としての評価が高いのはたいへんありがたいのですが、それだけで学校を評価して欲しくないと思っています。本校はカトリックに基づく人間教育を進めており、グローバルな視野、奉仕の精神を育てるという心の教育、魂の教育が教育の根本をなしています。 宗教的な話になりますが、人間は神に似せてつくられた存在で、神によって生かされている存在である、ということを認識することが大切です。 このことが自分自身の尊厳、人格の価値を生み出していることを知ってほしいと思います。 最近、社会問題化している少年、少女による残虐な犯罪は、現代社会の中で自分自身の価値を見失ってしまったことが背景にあると思います。しかし、実際の教育現場では、「将来、損だよ、得だよ」とか、「家族が悲しむよ」などの対応も多いことは残念なことです。 このような利害誘導やすでに信頼が崩れつつある家族の話だけでは解決はできにくいと思います。
根底に「生き方の教育」が大切ではないかと思うのです。

『宗教的な教育の場では、話に耳を傾ける姿勢をもって欲しい』

(中山)
保護者や生徒の中に、高い進学実績を見るだけで、このような教育の方針を理解しないで入学してくることも多いと思いますが、どのように対応をされていますか。
(広野先生)
大多数はそうでしょうね(笑)。
カトリックでは厳しい鍛錬を通して自分を磨いていき、社会に役立つ人間を育てようと考えます。厳しい勉強も、鍛錬のひとつと考えます。その結果が高い進学実績を生んでいると思います。ですから、学力だけを重視しているわけではありません。 かといってカトリックの価値観を強制するつもりは全くありません。宗教行事や奉仕の活動など全ての活動を通して、価値観を生徒なりに身につけてほしいと思います。話に耳を傾ける姿勢があればいいでしょう。 奉仕の授業での福祉施設におくる品物の製作、フィリピンの子供たちに学資援助やバングラデシュの水害被災者への援助の義捐金などにとりくんでいます。しぶしぶやっている生徒もいるでしょう(笑)が、まずまずうまくいっていると思います。

『英語では英英授業を行う』

(中山)
晃華学園のプログレスを用いた英語指導には定評がありますが、その他の教科も含めて、指導の特色をお聞かせください。
(広野先生)
評価いただいている英語は、中1から週6時間の授業を行い、高3になると最高週10時間になります。プログレスを用いた高いレベルの文法、語句指導による「読み、書く力」の強化だけではなく、外国人教師による週2時間の英英授業による「聞き、話す力」の強化にも努めています。高1で行う海外語学研修(英または米)では英英授業の効果がはっきり出ます。また各種の英語スピーチコンテストで活躍したりしています。 校内の英語スピーチコンテストでは参加希望者が多すぎて調整が必要になる(笑い)など、すばらしい効果を生んでいると思います。 校内のコンテストは願書提出期間の1月23日になりますので、当校の受験を希望する生徒にはぜひ見てほしいと思います。 また、志望者が増えている理数系の指導では学力別の少人数制の指導を行ったり、不得手の生徒が多い実験・観察の時間を増やすなどしています。将来に高い希望を持って授業に意欲的に臨む生徒が多いので、希望に沿えるよう配慮しています。

『立体図形の見方、数式で表現するための基礎力を重視する』

(中山)
最後に、来年受験する生徒のために何かアドバイスをおねがいします。
(広野先生)
今年の問題と大きく変化をすることはないだろうと思います。 毎年のことですが、算数では立体図形に関する問題を出題します。女子には苦手な分野ですが、中学の学習に必要な力です。実体験があればかなり有利になるでしょう。
また、入学後の数学で重視される数式を用いて考える力を診る問題では、文章を図を用いて解明して数式に表すことを練習して欲しいと思います。
その他、学校説明会でもまた詳しくお話しますので、関心をお持ちの方にはご参加いただきたいですね。

以上

学校風景1学校風景2学校風景3

☆付記☆インタビューは資料と丁寧な説明によって,長時間に及んだ。終了後,学内各所の施設を校長先生自らの案内で受けた。清掃の行き届いたすがすがしい校舎には、生徒たちの明るい声と,声掛けをする校長先生の静かな声が呼応しあっていた。敬虔なカソリックのSisterとしての静かさが、先生の物腰の全てに溢れていた。
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