「中学校を持つのが夢だった」
(中山)
鈴木先生は、前校長堀込先生に代わって今年から学校長に就任されたそ
うですね。
(鈴木先生)
ええ、昨年までは千葉の日大習志野高校の校長をしていました。日大習志野には創立時から関わって、教頭を18年間、校長を13年間勤めました。
習志野は高校だけで中学はありませんので、ずっと中学校が欲しいと希望してい
ました。
併設中学に理想を持っていましたので、この学校に来ることができて、その理想が実現できそうだと、とてもうれしく思っています。
(中山)
先生の併設中学に対する理想とはどのようなものですか。
(鈴木先生)
中学・高校の6年間でゆとりを持って指導ができることがいいのです。三つ子の魂…とは言えませんが、早い時期からいろいろな指導をしていくこ
とで子どもの可能性を広げることができると思います。
その理想に近づくことができるようになって、そのめぐり合わせに感動しています。
(中山)
日大中学・高校に対してどのように思われていますか。
(鈴木先生)
生徒や学校がいろいろな点で可能性を持っていると感じましたね。
学習面はもちろんですけども、クラブ関係、特に体育関係がすばらしいですね。
まず施設がすばらしい、そして指導者もすばらしい。専門家がそろっているんです。
クラブ名を挙げるとまずい(笑)のかな。他のクラブから「じゃウチはどうなんだ」と言われそうなんで。どのクラブもすばらしい指導者を得ています。
「最高の指導者が得られるのは付属の利点」
(中山)
ぜひ、くわしくお聞きしたいものですね。
(鈴木先生)
たとえば水泳部がそうです。
多くの学校がスポーツ推薦で有望な生徒を引っぱってくることが多いのですが、本校ではそうまでしなくても県大会や全国大会で活躍しています。これは指導者の力が大きいと思いますね。水泳部の指導者の一人は平泳ぎの元オリンピック代表、新屋先生ですからね。
(中原先生)
その他にも優秀な指導者が数多くいます。剣道部の久保木先生は本校の卒業生ですが、高校チャンピオンで現在は八段です。
(鈴木先生)
八段というのは大変なものです。技量だけではなく風格や品性も兼ね備えていなくてはなりませんからね。以前NHKのテレビで八段になるための試験の凄さをやってましたが、それはそれは大変なもので、びっくりしました。
(中原先生)
ヨット部顧問の渡辺先生はオリンピック代表の監督ですし、昨年まで体操部の指導者だった西川先生もオリンピックの代表でしたね。
(中山)
そのような指導者はどのようにして招かれるのですか。
(鈴木先生)
日本大学を卒業して大学や付属中学・高校の教職員になった人たちです。この学校は付属校の中でも伝統がありますから、本部からも特別に扱われているんですよ。もともとあった一中、二中、三中、四中のうち、現在でも学校法人である日本大学に残っているのは旧四中のここだけですからね。
ですから、優秀な指導者がやってくるわけです。これはとりもなおさず、付属校の進むべき姿を考え、より良く実践しなくてならないわけで、責任も大きいのですよ。
「将来は完全な中高一貫教育を」
(中山)
先生が習志野から赴任されてきたことは、どう活かされるのでしょう。
(鈴木先生)
この学校は教員として最後の場所になります。ですから、今までの経験を活かして新しい付属校を作る手助けをしたいと思っています。先生がたがそれぞれ思い描いている学校の理想的な姿を、調整しながら実現させることが校長としての務めだと持っていますよ。
(中原先生)
私からは、基本的な方向についてお話します。生徒が自分の希望や実力に応じて多様な進路を選ぶことができるようにすることが大切だと思います。
学力を伸ばして難関大学を受験するも良し、勉強とクラブ活動をバランスをとり楽しみながら過ごして日大へ推薦で進むのも良いわけです。
(中山)
そのためにはどのように準備を進められていますか。
(中原先生)
余裕を持って実力を伸ばしていくには中高一貫の教育が良いでしょ
う。徐々に高校からの募集を減らして、中高一貫の生徒を増やしてきました。あわせて、実力アップのために「2.5ヵ年計画」という、中学校で主要科目を2年半で終わらせて、後の半年を高校の内容を含めて深い勉強をさせるシステムを
採っています。
(中山)
高校から入学する生徒もいるわけですからなかなか大変ではありませんか。
(中原先生)
このシステムを効果的に進めるためにも完全な中高一貫を目指して準備しているわけです。高校からの募集をしなくなれば、高1の段階から将来の希望や適性にあったコース制を採用することができるでしょう。現在の文系・理系という大雑把なものではなく、例えば国公立受験のコース、体育コースなども考えられると検討しています。
(中山)
体育コースについては中学の時に入学した生徒だけで編成するのは難しいのではないでしょうか。
(中原先生)
そうですね。体育コースの場合、運動部を強化することが重要になりますから、中学からの入学者だけでは補強できないでしょうね。体育コースを設けることになった場合、高校からの入学者を1クラス分程度とることを検討しています。
現在の中1が高校に進む時点には確定します。
「学習指導の面でも大きく変化している」
(中山)
その他にも将来の展望に基づいていろいろな取り組みがなされていると思いますが。
(橋本先生)
新校長が積極的に動かれるのでプレッシャーを感じる(笑)ほどですからね。
そのせいでいろいろな取り組みが始まっています。
(鈴木先生)
そんなことはないですよ(笑)。みんな優秀ですから。(笑)
(三好先生)
校舎はずいぶん古くて機能的ではない部分もあります。
校長先生からの「将来に向けて校舎の改築をしよう」という考えで、もうマスタープランができ上がっています。
慶應湘南藤沢キャンパスの設計をされた、日大の先生に頼んだものです。
(橋本先生)
授業の面でも、今年の2学期から大学の教授を招いて特別な授業を行うことになりました。
高校生や中学生の興味がある生徒が対象です。
都市工学 などの分野で一流と名だたる教授陣がやってきて授業をするわけですから、生徒
はきっと関心を持ってくれることでしょう。まずは理工系から始めて、いろいろな方向に広めたいと新校長のもと、力を合わせているのです。
(中山)
すばらしい授業になりそうですね。
(橋本先生)
付属の利点を活かした授業ですね。ネイティブによる英語の授業もそうです。日大はケンブリッジ大と提携していますので、ケンブリッジ大からの留学生など10人ほどに来てもらってやっています。一応の内容は決まっているのですが、実際は彼らなりに考えて、かなりいろいろなことをやっているようです(笑)。おかげで生徒はコンプレックスを持たないで語学研修にも出かけてい
ます。
「これからは男女共学が自然」
(中山)
新しい学校づくりの取り組みの中で99年度から男女共学がスタートし
たわけですね。
(中原先生)
ええ、これからの学校を考えると男女共学が自然だと思いますね。
女子教育をするとなると高校からの3ヵ年では難しい面がありますから、完全中高一貫教育にセットで考えています。それに、高校からの募集をやめるとなると入学者のレベルを高めることも大切なので、できるだけ広い範囲から募集したい
いう考えもあります。
(中山)
中学生の時期では女子の勢いが強くて男子が萎縮するというようなことが言われますが、男子ばかりのクラスと比べて指導の面で何か変化はありましたか。
(中原先生)
男女の比率が3対1くらいが理想的だと考えていました。結果もほぼそのようになったので予想通りといえるでしょう。3対1でも男女が同じくら
いいるように感じられます(笑)。女子は身体も大きいし精神年齢も高いですからね。
(中山)
男女比は4対1くらいが良いとおっしゃる学校もありますが。
(三好先生)
私は中1のクラスを持っています。4対1でも多分大丈夫でしょう
ね(笑)。今のように10人程度いる方が、クラス内の友だち関係や他のクラスの友だち関係がうまくいくと思います。
(中山)
体育などで男女でいっしょにできない種目があると思いますが、
どのようにされているのですか。
(三好先生)
現在は中1ということで一緒にやっています。しかし、中2になると体力差も出てくるので、種目によって女子を2クラスずつ合同して授業をすることになるでしょう。いろいろ試行しながらやっていくことも多いと思います。
(鈴木先生)お聞きのように、先生たちが大変熱心でしょう。私も日々勉強しながらより良い学校を目指していきます。これで良いと思ってしまったら進歩しませんからね。
以上
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