2002年5月24日(金)訪問:高輪中学校・高等学校は都心港区の高輪に位置する。周辺には大企業の本社やホテルなどが点在する。一方、慶應義塾や明治学院など伝統のある大学などにも近い。仏教系(浄土真宗本願寺派)の学校として創立された歴史を持つ。また「赤穂義士」の墓地のある泉岳寺に隣接し、生徒はその山門をくぐって登校する。仏教系の学校という印象をもたれているが、実際には1906年以降宗教とはまったく無関係の学園となって現在に至っている。中学校は1989年に再開され、6年一貫の進学校として評価を高めており、受験生や保護者の人気も高く、入学者の学力も大きく伸びてきた。今後の進学実績の伸びも期待される。学校長櫻橋稔先生、入試広報部長大田原輝幸先生にインタビューした。
ほくしん教務統括 中山秋子

「まず子供たちの話を聴く」

(中山)
この学校訪問「校長先生に聞く」は受験生や保護者に、生の正しい情報を伝え、より良い受験をして欲しいと考え取材しております。本日も校長のお人なりをできるだけたくさんお聞きしたいものと思っております。情報の公開についてはどのようにお考えでしょうか。
(櫻橋先生)
基本的には賛成です。学校としては広くいろいろな方々に知っていただく機会を持つということは必要だと思っています。私の心を開かない限りは相手に絶対わかってもらえないでしょう。
(中山)
ありがとうございます。早速ですが、取材をする場合に注意しなくてはならないとお考えになることをお話しください。
(櫻橋先生)
学校にはそれぞれ事情があるでしょう。が、取材する側は意図を明確に伝えることが大切でしょうね。そうすれば学校側が拒む理由はないと思います。このたびのように、最初に「このことについて聞きたい」とか、「このような生徒の姿を見たい」とか、明確にすれば取材を受ける側も話しやすいと思います。
(中山)
そのように考えてこれまで、数多くの学校を訪問して参りました。先に述べましたとおり、今回の取材でも「学校長が何を考えているのか、どんな人なりなのか、中立の立場で保護者や受験生に紹介したい、受験生により良い受験をしてほしい、生徒に合った学校選びをする助けなるものの提供」という気持ちで臨んでおります。よろしくお願いします。
(櫻橋先生)
こちらこそ、よろしくお願いします。
(中山)
在学している子供たちも「校長先生がどのような人なのか」、「普段は何をしているか」を知らないことが多いようです。まず、櫻橋先生は生徒とはどのように接していらっしゃるのでしょうか。
(櫻橋先生)
子供たちはよく私の部屋に来ます。HPでも紹介していますが、一緒にお昼を食べたりもします。ただ、このようになるのはほとんど高校生になってからですね。
(中山)
中学生の方が気軽に訪ねて来るのか思っておりましたが、そうではないのですね。
(櫻橋先生)
ええ。中学生の時には校長室は何か特別の場所だと思っているのでしょうか。学校になれていくうちに、子供たちの口コミで広まるようです。「校長は結構話せるよ」(笑)というところらしいですね。
(中山)
櫻橋先生のお話はとても楽しいと漏れ伺っています。お話の際にはどのようなことを心がけていらっしゃいますか。
(櫻橋先生)
私は「まず聴くこと」を心がけています。子供たちの話すことを心を込めて聴いています。その話の中で判断して話さなくてはならないと思うことを話すことはありますが。
(中山)
生徒とのお話の中で印象に残ったもの、おもしろいお話などをお聞かせくださいませんか。
(櫻橋先生)
いろいろな話題がありますが、楽しいことや嬉しいことよりも生徒は悩みごとを話すことが多いですね。この場ではお話できないような、家庭についての苦しみや悩みを抱えていることがあります。
(中山)
入試に関わる保護者の方々にも考えてもらいたいことがおありだと思います。家庭のことについては、お話しいただける範囲でメッセージとしていただきたいと思います。
(櫻橋先生)
わかりました。まず、家庭教育というものを再確認していただきたいと思います。
お子さんを「どのように育てようとしてきたのか」、そして「そのためにどのように関わってきたのか」ということをです。各家庭で「家庭憲章」等を作るのも良いでしょう。
(中山)
なかなか難しいようにも思います。
(櫻橋先生)
易しくはありませんね。でも必要なことだと思います。校長を拝命してからずっと感じていることに、子供たちが育っていないなあということがあります。
難しい時代ではあるでしょうが、それであればなおのこと、ただ良い中学校に入れるために塾通いをさせて、よく勉強していれば「いい子」と思ってしまうのでは困ります。
(中山)
指導に携わる塾も感じるところではあります。このことは保護者の方にもお話されるのですか。
(櫻橋先生)
ええ、話します。もちろん学校として受け入れた以上は責任を持って育てていきますが、お父さん方やお母さん方にもしっかりお話しなくてはなりません。
(中山)
子供たちが育っていないという原因は何だとお考えですか。
(櫻橋先生)
家庭に限らず、日本の社会全体で「人間を磨く」とか「切磋琢磨する」とか、このような考え方が薄れてきているからだと思います。
たとえば家で包丁を研ぐなどということがなくなりましたね。「研ぐ」とか「磨く」という言葉の持つ意味の重さ、「心を込めて、愛を持って鍛えていく」いうことを実感できなくなっているのでしょう。
(中山)
そう思います。具体的なアドバイスをお願いします。
(櫻橋先生)
我が家では子供はこのように育てたいと話し合って決めてほしいと思います。それに基づいて、善いことと悪いことの区別を教えたり、これだけは許さないという限度を示したりすることが必要でしょう。小学生の時期までにたたき込んでいただきたいと思います。

「苦労なくして6年間の学校生活をしようと思うな」

(中山)
「たたき込む」は強い言葉ではありますが、本当に必要だと私も思います。ただ、必要を感じていても「どのようにしていけば良いのかがわからない」という保護者が多いようですが。
(櫻橋先生)
結局のところ、小学校後半では遅いように思います。本当は2、3歳の頃から、小学校入学前の時期でしょうね。
(中山)
言葉は良くないかも知れませんが、2、3歳の頃に服従を知り、我慢を知らなくては、知識を身に付けても社会で役に立つ人間とはならないと伺ったことがあります。
(櫻橋先生)
「服従」という言葉は適切かどうかは問題です。それよりも、集団の中の個として生活を始める時期に、「忍耐」を育てなければなりません。一番の元は小学校入学以前でしょう。家庭でその準備ができていると良いですね。
私たちが受け入れるのは中学校からです。学校としてできる限りのことをして子供たちを育てる努力をしていますが、現場の者たちにとっては、その土台作りが早くできていると大いに助かることは確かでしょう。
(中山)
ある校長先生に、我慢を知ってから、知識の量を増さねば、世の中に出ていろいろな対処をしなければならない状況に遭遇しても使いものにならない。と伺ったことがあります。
(櫻橋先生)
ほんとうにそう思います。わたしが、今日朝礼で生徒に話したことは「苦難」についてでした。 「苦難、苦労は忍耐を生み出す。その忍耐は磨かれた品性を生み出す」という話をしました。この学校で苦労なくして6年間の生活をしようと思ったらだめだという考えで指導しています。これは勉強のことだけではないのです。
(中山)
どのようなことでしょうか。
(櫻橋先生)
体育祭がありました。その準備ではかなりきつい練習もあるし、難しい種目もあります。全員に取り組ませます。身体的な理由でない限り絶対に不参加は許しません。
(中山)
きつい種目があると尻込みをする生徒もいると思いますが。
(櫻橋先生)
そうですね。実際に「これはウチの子にはできません」という届けが保護者からありました。 しかし、共同生活の中でチームプレーをする時には、上手下手は別に、立ち向かっていく姿勢が大切です。本人に「絶対に出ろ」と言って出場させました。
(中山)
その結果はいかがでしたか。
(櫻橋先生)
しっかり取り組んでいました。やはり「やればできるじゃないか」と思いましたね。 部活動でも「最後までやめるな」と言って対応します。
(大田原先生)
そのように接するので、本校では高3まで部活動を続ける生徒も4割くらいいます。 今年(2002年)、東大に現役で合格した生徒は卓球部で高3まで活動していました。最後の試合が終わってから本格的に受験勉強を始めたようです。
(中山)
何でも最後まで続けるのはたいへんだと思いますが、勉強にも部活動にも一生懸命取り組んだのでしょうね。努力が報われて良かったですね。櫻橋先生が校長として明確な方向性が示されていることは、実際に現場で指導される先生方にとってもやりやすいことだと思います。
(櫻橋先生)
私の立場は楽なものです。本当に大変なのはクラス担任や学年に所属している教員だろうと思います。遅くまで子供たちに対応したり保護者と面談をしたりしています。私は必要に応じて呼ばれるだけです(笑)。
(大田原先生)
校長が中学校を再開しようと考えた中心人物だったのです。現場の教員は高校生の指導しか経験がないので、校長が陣頭に立って試行錯誤を続けたと先輩教員から聞いています。 その時期に教科指導から部活動や行事までの基本方針が定まったことが、今日面倒見が良い学校という評価を得ている原因だと思います。
(中山)
中学校を再開するにあたってはいろいろなご苦労がおありだったと思います。先生方の意識の切り替えは特に難しいように感じられますが。
(櫻橋先生)
中学再開の時期と言うより校長に就任した時期の方が大変でしたね。最初に取り組んだのは、要項の自動販売機の撤去でした。受付窓口の職員は楽かもしれないが直接に手渡しするのが当然だと思いました。
(中山)
そうですね。校長先生自ら旗を振ってくださることで改革できることも多いのでしょう。
(櫻橋先生)
それはちょっと違います。職員会議で「学校長が指示をだしてくれれば僕らはやるんですよ」という話が出たときはすごく怒りました。 「トップダウンでやらなくてはならない場合には徹底してやるが、基本的にはボトムアップで進める」と宣言しました。その後は徐々に変わってきて、現在は「こうしたい」という提案がどんどん出てきます。
(中山)
なるほど。独特な行事が多いのはそのような背景があるのですね。
(櫻橋先生)
ええ。たとえば中学校での海外語学研修は実施していないのですが、現在の中3と高1はオーストラリアに出かけました。学年の企画として提案があり実施されました。 だから学年によって行事が違うこともありえます。
(中山)
保護者からのクレームがありませんか。
(櫻橋先生)
「あの学年は良いわ。いろいろなことをやってくれて」ということはあるようですが、それはそれで構わないと考えています。 保護者からの意見が教員に伝わり、また教員同士が相互に刺激し合い、結果として効果的な指導につながれば良いと思っています。またそうなってきています。

「保護者が積極的に学校に関わる」

(中山)
高輪の保護者は学校へ積極的に関わることで知られています。これも改革の中でできあがったものでしょうか。
(櫻橋先生)
そうです。かつては他の学校と同じようなPTAの組織でしたが、中学校から改めていきました。それにしてもうちの保護者は偉いですよ。一生懸命やってくれます。役員会と学年、研修、広報の3つの委員会があり、いずれも学校と密接な関係を持って活動しています。 学年委員会は保護者に加えて教員も加わっています。現場の教員も動かせる力があるのですが、これは他の学校ではあまり例がないと思います。
(中山)
どのような活動をしているのでしょうか。
(櫻橋先生)
研修委員会によって、生徒のために講演会を企画したり、あるいはNHK交響楽団による室内楽の鑑賞会などを行いました。 あとは、「保護者だけで楽しもう」(笑)ということでフラワーアレンジメントやワインセミナーなどが実施されました。授業がない教員もどんどん参加しています。
(中山)
エネルギッシュですね。櫻橋先生はいかがですか。
(櫻橋先生)
ええ、出ますよ。さすがにフラワーアレンジメントへは挨拶だけですが(笑)、ボーリングなどは一緒にやります。広報委員会では年3回の新聞を発行しています。これも大変な仕事です。あとは、生徒会の要請で行う高学祭(文化祭)のバザーもあります、売上げが100万ほどありますが、全額学校に寄付して頂いて図書の購入など生徒のために使わせて頂きます。
(中山)
保護者の方も実に積極的ですね。でも、必然的に櫻橋先生はじめ諸先生方もとても忙しくなりますね。
(櫻橋先生)
確かにそうですが、学校内のことについては忙しさを感じません。むしろ楽しいですね。他のことでは「いそがしいー」とヒィヒィ叫んだりもしますが。(笑) これだけ保護者の方に積極的に協力いただけているので、私もお返しをしようと土曜日に勉強会を持っています。希望者全員というわけにはいきませんので、現在は中2の保護者で20名ほどを対象に行っています。
(中山)
どのようなものですか。
(櫻橋先生)
「自分とはいったいどういう人間なのか」と見直してもらいたいというのがテーマです。最後の感想文に「『校長先生のお話を伺うだけだろう』と思って参加したが、全然違っていました」ということがよくでてきます。グループに分けていろいろな作業や討論を行い、最後に発表するという形式が多いので、びっくりするようです。
(中山)
作業というのはどのようなものですか。
(櫻橋先生)
例えば、紙を1枚渡して「7つに分けてください」と言います。定規で正確に7等分しようと考え込む人、しばらく考えてから破って大小構わず7つに分ける人、さまざまですね。その結果でその人の生育歴がわかるのです。
(中山)
子供たちへの接し方の基本となるものが表れますね。
(櫻橋先生)
そうです。大人は、自分の経験をもとに子供に接しています。まず、自分の価値観の基本を知ってほしいというのがもくろみです。大概が自分の型にはめようとしがちでしょう。それをわかった上で、わが子に家庭として許さないこと、大目に見ること、積極的に勧めることを決めて我が子を育てて欲しい思います。
(中山)
大人になれば、日常に追われ内省をする機会はなかなかとれないように思います。その点でもとても素晴らしい講座だと思います。
(櫻橋先生)
これらの勉強会を通して、声高に教育方針を唱えなくとも「ああ高輪は、総合的に子どもたちを伸ばしていきたいと考えているんだな」と自然に解ってもらえるようです。
(中山)
櫻橋先生のお話を伺っていると、キリスト教の考え方に通じるものを感じます。
(櫻橋先生)
私は洗礼を受け、マリア会に属しています。
(中山)
やはりそうでしたか。あるキリスト教系の学校をお訪ねしたときにそこの校長先生が、いろいろな問題が子どもたちに起こっているときに救う手だての元は「愛だ」とおっしゃいました。
(櫻橋先生)
私もほんとうにそうだと思います。愛がすべてだという上に立たないと心ある教育とか魂と魂のふれあいとかできにくいのではないかと思います。
(中山)
まさにそうだと思うのですが、保護者の皆さんも「愛はない」ことは決してないのだけれど、日々の中で相互に見えにくくなっているということはあるように思います。子どもにわからせるために以前は自然にできていた工夫が出来ないようです。まだ表現が未熟な子どもたちにはそれを受け止めることも、表すこともできなかったりするように思います。
(櫻橋先生)
相互に受け入れていくことが大切でしょうね。そうすることで知恵や工夫が自然に出てくるのではないかと思います。宗教に関係する学校であれば、大々的にやるのでしょうが、本校は宗教と無縁の学校なので、勉強会などは希望者を対象にして実施しています。
(中山)
高輪が急速に人気を伸ばし、注目を集めているのは、櫻橋先生のお話を聞く機会を得たお母様のファンが増えていることもあります。
(大田原先生)
勉強会を卒業した保護者が作った会に「みのり会」というものがあります。櫻橋稔(みのる)の会というしゃれも込めているのでしょう。会が発行している冊子に載っている「みのり会に参加しての感想」などを読ませてもらいますと、参加した母親にとってどんなに有意義な時空であったかが窺えます。
(中山)
拝見させていただけますか。
(櫻橋先生)
どうぞ。みなさんとても一生懸命に書いてくださっていて私もうれしく思っています。

「午後入試の算数には高輪の求める学力が示されている」

(中山)
次に、教科指導と入試についてお伺いします。
(櫻橋先生)
その件については大田原からお話させるのが良いでしょう。
(中山)
では、大田原先生お願いします。指導内容の削減や週5日制の導入など、学校教育について大きな変化があります。高輪の対応策はどのようなものになっていますか。
(大田原先生)
教科書は指導の材料に過ぎないので、プリントによる指導を充実させて従来通りの指導内容で進めます。 週5日制については土曜日に行事をすべて集め、学力強化のための土曜講習を実施するというシステムになります。 平常授業は週5日ですが、実際の登校は6日ということですね。学校の責任として学力の低下は許されないので、どのような形で授業を進めるか、長く議論して出した結論です。
(中山)
授業時間を減らさず、学力を伸ばすための指導を続けるということですね。保護者も安心するでしょう。
(大田原)
それらも考えて議論しました。
(中山)
現状の学力について、特に国語力の低下は深刻に感じます。一方で国語力が難関大学の入試で大きな得点差につながるので強化しなくてならないということがあります。どのような取り組みをされていますか。
(大田原先生)
国語で作文などの表現力を伸ばす指導を重視しています。読書や漢字ワークなどの取り組みもさせます。さらに夏休みなどに自由課題と言う形で理科や社会科の研究レポートのようなものを出します。トレーニングも考えることも多いと思います。
(中山)
その中でお感じになることは何でしょう。
(大田原先生)
漢字ワークなどの単純作業の提出が悪いことですね。期限が来ても「まだ終わってません」(笑)などと言う生徒が多い。でも逆に自由課題の提出は期限を守ります。
(中山)
それは力がある生徒が多いことを示していると思います。公立中の生徒ではなかなかそうはいかないようです。
(大田原先生)
そうでしょうね。ただ、作業の正確さという点ではやはり落ちています。
(中山)
どのような場合にお感じになりますか。
(大田原先生)
社会科では最初は作業を中心に進めます。正確な漢字で県名を書けなったり、白地図作業などできちんと色が塗れなかったりします。あまりにも丁寧に塗れないので「幼稚園も終わっていないのではないか」(苦笑)と思えるような場合さえあります。
(中山)
送り出す塾としても何とかしたいと思っています。最後に、入試に関してお伺いします。今年(2002年)から午後入試として1科目入試を導入され、大きな話題となりましました。どのようなお考えから導入されたのでしょうか。
(大田原先生)
学習指導要領の大幅な削減に対する危機感が背景にあります。3.14の計算がなくなるような状態では算数が得意な生徒が減ってしまうと考えたわけです。 本校では中3から高校数学の課程に入るので、削減の影響を受けない生徒、つまり算数・数学が得意な生徒に入ってきてほしいという考えで行いました。
(中山)
わかりました。それで設問の形式も内容も高輪が求める学力を測るということを考えられたのですね。
(大田原先生)
そうです。AからCの3回の入試では答だけを求める形式ですから。どのような考えをして答を出したのか、考えた過程をみたいということで、あのような形式になったのです。
(中山)
国語の力をみるといこうことをお考えにはならなかったのですか。
(大田原先生)
確かに不安はありました。文章を長くして内容を正しく読み取る力を要求していますし、解答の途中経過を的確に表現するということも必要です。ですから、国語の力がなくてはどうにもなりません。そこで診ようという考えです。
(中山)
実施初年度の受験生の状況はいかがでしたか。学力の高い受験生が集まったように思います。
(大田原先生)
話題作りだけを狙った入試ではなく、相当厳しい内容にしました。 受験生や保護者にもそのことをいろいろな機会でお伝えしていましたので、正直なところ予想以上の受験生が集まり驚きました。
(中山)
午前と午後で別タイプの入試でした。両方とも受けた生徒もいたように思われますが、結果を比較されていかがですか。
(大田原先生)
8名が両方とも合格しました。3人は午後の方が得点が高いので、意図通りの生徒が集まってくれたのではないかと思います。
(中山)
私立中学校が横並びの出題ではなく、独自の出題、どのような生徒が欲しいかを明確にされた出題をすることを希望しています。算数でも国語でも記述の量を増やすと受験生が敬遠する傾向があるのは残念です。
(大田原先生)
そうですね。社会科の授業でも言葉の力が相当に落ちていると感じます。
記述問題は嫌だろうなと思います。今後の問題作成の上での課題ですね。
(櫻橋先生)
午後入試の算数は高輪が生徒に求める姿、高輪が行う指導の目標を示していますので、よくご覧になって欲しいと思います。
(中山)
よくわかりました。本日はありがとうございました。

以上

学校風景1学校風景2学校風景3

☆付記☆櫻橋校長は卓越した指導力と先見性を持って、新しい高輪を作り上げてきた。さらに先を見つめた準備にも怠りがない。大きな受容力で生徒や保護者とを包む日々が窺えた。実力のあるスタッフに支えられて、さらなる発展が期待される。
高輪URL