算数


    「点の移動と三角形の面積変化」

    点の移動と面積の変化を考える問題には、速さの考え方に加えて、面積比の考え方を使う
    ことが多くあります。この問題はその代表例で、台形を対角線で分けたときの面積比を考
    えて解きます。
 

<問題>

 次の[図1]のような,辺ABの長さが36cmの長方形ABCDがあります。点Pは頂
点Bを出発し,辺BC,CD上を矢印の向きに,一定の速さで頂点Dまで休まず動きます。
また,点Qは頂点Dを出発し,辺DC上を矢印の向きに,点Pのの速さで頂点Cまで休ま
ず動きます。2点P,Qはそれぞれ頂点B,Dを同時に出発し,点Qが頂点Cに着くより
も早く,点Pは頂点Dに着きました。[図2]は,2点P,Qが同時に出発してからの時間
(秒)と,そのときの三角形ABPの面積と三角形ADQの面積の和(cm2)との関係を,
点Qが頂点Cに着くまで表したグラフです。これについて,下の各問いに答えなさい。途
中の計算式も書きなさい。

    
(1) 点Pが頂点Dに着くのは,2点P,Qが同時に出発してから何秒後ですか。


(2) 2点P,Qが同時に出発してからx秒後の,三角形ABPの面積と三角形ADQの面
 積の和をycm2とします。2点P,Qが同時に出発してから6秒後までのxとyの関係
 を表す式を求めなさい。


(3) 2点P,Qが同時に出発してから12秒後の,三角形ABPと三角形ADQが重なる
 部分の面積を求めなさい。















<解答>

(1) 2つの三角形の面積の変化を考えます。

  ア)三角形ABPの面積

    点Pが辺BC上にあるとき … 一定の割合で増える

    点Pが辺CD上にあるとき … 長方形ABCDの面積の半分で変わらない

    

  イ)三角形ADQの面積

    点Qが辺DC上にあるとき … 一定の割合で増える

  このことを考えてグラフを見ると,面積の和の増え方が変わった6秒後に点Pが頂点
  Cを通過したことがわかります。また,点Qは辺DCを18秒かけて動いたこともわ
  かります。

  点Pの速さは点Qの2倍なので,点Pが辺CD上を動くのにかかる時間は,

   18秒÷2=9秒

  よって,点Pが頂点Dに着いたのは,

   6秒+9秒=15秒

                              答 15秒後


(2) 点Qは辺DCを18秒かけて動いたので,点Qの速さは,

   36cm÷18秒=毎秒2cm

  点Pの速さは点Qの速さの2倍なので,

   毎秒2cm×2=毎秒4cm

  点Pは辺BC上を動くのに6秒かかっているので,辺BCの長さは,

   毎秒4cm×6秒=24cm

  三角形ABPの面積をxを用いて表すと,

   36cm×(毎秒4cm×x秒)÷2=72×xcm2

  同様に三角形ADQの面積をxを用いて表すと,

   24cm×(毎秒2cm×x秒)÷2=24×xcm2

  よって,

   y=72×x+24×x
    =96×x

                              答 y=96×x


(3) 次の図の赤い三角形APRが重なりの部分です。

    

  まず,12秒後の2点P,Qの位置を考えます。

  PDの長さは,点Pが15秒後に頂点Dに着くことを利用して,

   毎秒4cm×(15秒−12秒)=12cm

  DQの長さは点Qが12秒間に動いた距離になるので,

   毎秒2cm×12秒=24cm

  よって,12秒後のQPの長さは,

   24cm−12cm=12cm

  また,三角形ABRと三角形QPRは相似です。

  相似比を求めると,

   AB:QP=36cm:12cm
        =3:1

  色が塗られた4つの三角形の面積比を求めると,

  相似形の面積比から,

   三角形ABR:三角形QPR=(3×3):(1×1)
                =9:1

  高さが等しい三角形の面積比から,

   三角形QPR:三角形APR:三角形BQR=1:3:3

  よって,

   三角形ABR:三角形QPR:三角形APR:三角形BQR=9:1:3:3

  また,台形ABQPの面積は,

   (36cm+12cm)×24cm÷2=576cm2

  三角形APRの面積は,

   576cm2×=108cm2


                               答 108cm2


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