線分の長さの比やそれを利用して面積比を考える問題はよく出されます。この問題では基本の計算法が示されていますが、よく読んでその通りに解かないと逆に難しい問題となります。
次の説明を読んで問題に答えなさい。
説明
図1のように三角形ABCに3本の中線(各頂点からその向かい合った辺の中点を結んだ線分)AD,
BE,CFをひくと,これらは1点で交わります。この点に糸を通して三角形をつり下げると三角形は水
平に保たれます。このように三角形がバランスをとる点を重心といいます。
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それでは,次の図2のように三角形の各頂点A,B,Cに重さの異なるおもりをつり下げたときの重心
を求める方法について次のことを考えました。
図3のように線分ABの両端に10gと20gのおもりがつり下げられているとき,線分ABがつりあう点
Fの位置は重さに反比例して,AF:FB=2:1となります。このとき,図4の三角形ABCの重心Gは
線分CF上にあります。
同様に線分BCの両端に20gと10gのおもりがつり下げられているとき線分BCがつりあう点Dの位
置は,BD:DC=1:2となります。このとき,三角形ABCの重心Gは線分AD上にあります。
2つの線分CFとADの交点が点A,B,Cに10g,20g,10gをつり下げたときの重心Gとなります。
線分CAの両端につり下げられたおもりの重さは等しいので, 線分CAがつりあう点Eの位置は,
CE:EA=1:1にあります。
問題
(1) おもりをつり下げた三角形ABCの各辺のつりあう点と頂点を結ぶ線分ADとBEを解答用紙の図
に作図しなさい。ただし,三角形の辺にある点は,それぞれの辺を6等分している点です。
説明
図5のように,辺BCの両端に20gと10gのおもりがつり下げられているとき,辺BCのつりあう点
Dに(20+10)gの重さがかかっているとみなすことができます。
したがって,図6のように線分ADの両端には10gと30gのおもりがつり下げられていることにな
り,そのつりあう点は,上で作図したADとBEとCFの交点Gと一致して,AG:GD=3:1となりま
す。
問題
次の図7の三角形ABCの各頂点に4g,6g,12gのおもりをつり下げて,上と同様な方法でD,E,
F,Gの点をとるとき,次の問に答えなさい。
(2) AF:FBを最も簡単な整数の比で答えなさい。
(3) CG:GFを最も簡単な整数の比で答えなさい。
(4) 三角形GBDと三角形ADCの面積の比を最も簡単な整数の比で答えなさい。
問題
(5) 次の図8の三角形ABCにおいてAF:FB=2:3、BD:DC=3:5のときAE:ECの比を最も簡単
な整数の比で答えなさい。
(1) 説明に書かれたとおりに作図します。
BD:DC=1:2なので、点Dは次の図の赤い点になり、
CE:EA=1:1なので、点Eは次の図の青い点になります。
よって、答は次の図です。
(2) つりあう点までの距離はおもりの重さに反比例するので、
AF:FB=点Bのおもりの重さ:点Aのおもりの重さ
=6g:4g
=3:2
答 3:2
(3) 点Fに点Aのおもりと点Bのおもりの合計の重さがかかっていると考えて、
CG:GF=点Fのおもりの重さ:点Cのおもりの重さ
=(6g+4g):12g
=5:6
答 5:6
(4) 辺の長さの比を使って三角形の面積比を求めるには、いろいろな方法が考えられます。
ここでは、高さの等しい三角形の面積比は底辺の比に等しいことを利用して求めます。
まず、三角形ABCの面積を1とします。
(2) と同様にして、BD:DC=2:1がわかるので、
三角形ABDの面積=、三角形ADCの面積=
また、(3) と同様にして、AG:GD=9:2がわかるので、
三角形GBDの面積=三角形ABDの面積×
=×
=
よって、
三角形GBDの面積:三角形ADCの面積=:
=4:11
答 4:11
(5) ここまでの考え方を使うと、
A点のおもりの重さ:B点のおもりの重さ=FB:AF
=3:2
B点のおもりの重さ:C点のおもりの重さ=DC:BD
=5:3
連比をつくると、
A点のおもりの重さ:B点のおもりの重さ:C点のおもりの重さ
=15:10:6
これより、
A点のおもりの重さ:C点のおもりの重さ=15:6
=5:2
AE:EC=C点のおもりの重さ:A点のおもりの重さ
=2:5
答 2:5