この種の問題は中学入試ではよく出されます。水の体積ではなく水が入った部分の面積を考える方がよい問題が一般的です。この問題はその問題の良い例です。
下の図のような直方体の形をした水そうがあり,その内側はたて16cm,横15cmの長方形の仕切り板によって(ア),(イ)の部分に分かれています。まず,(ア)の部分に深さ12cmになるまで水を入れます。次に,仕切り板を毎分1cmの速さで側面に平行なまま矢印の方向に動かしていきます。このとき,次の各問いに答えなさい。
(1) (ア)の部分から仕切り板を越えて水がこぼれ,(イ)の部分に水がたまりはじめるのは,仕切り板が
移動しはじめてから何分後からですか。
(2) 仕切り板が移動しはじめてから7分後に,(イ)の部分には底から何cmの深さまで水がたまってい
ますか。
(3) 仕切り板が移動しはじめてから7分後に仕切り板を止め,(イ)の部分に毎分 180cm3の割合で水を
入れていきます。(イ)の部分に水を入れ始めてから,(ア),(イ)の水の深さが等しくなるまでにかか
る時間と,等しくなってからこの水そうが満水になるまでにかかる時間の比をもっとも簡単な整数の
比で表しなさい。
奥行きが一定なので手前から見た形を底面として考えるのが一般的です。
(1) 次の2つの図を比べると、入っている水の体積が等しいので2つの青い部分の面積同じです。
左の動き出す前の水の底面積は正方形で、
12cm×12cm=144cm2
右の縦の長さが16cmになるときの長方形の横の長さは、
144cm2÷16cンm=9cm
仕切り板は毎分1cmの速さで動くので、
(12cm−9cm)÷毎分1cm
=3cm÷毎分1cm
=3分
答 3分後から
(2) 水の体積が変わらないので、もとの正方形の面積が2つの長方形の面積の和になります。
7分後には(ア)の部分の水の底面積は、
16cm×(12cm−毎分1cm×7分)
=16cm×5cm
=80cm2
(イ)の部分の水の底面積は、
144cm2−80cm2=64cm2
よって求める深さは、
64cm2÷(3cm+毎分1cm×7分)
=64cm2÷10cm
=6.4cm
答 6.4cm
(3) 水を入れた時間と水が入った部分の底面積は比例するので、水を入れた時間の比も面積の比
で考えることができます。
(イ)の部分の残りの底面は右の図の赤い部分で、その面積は、
(16cm−6.4cm)×10cm
=9.6cm×10cm
=96cm2
次に(イ)がいっぱいになってから満水になるまでの底面は右の図の青い部分で、その面積は、
(20cm−16cm)×15cm
=4cm×15cm
=60cm2
よって、求める時間の比は、
96cm2:60cm2=8:5
答 8:5